臓器移植法の改正によりムスリムの臓器移植者が倍増
シンガポールでは、昨年、ヒト臓器移植法(Human Organ Transplant Act=HOTA)が改正されましたが、それから5か月を経過して、ムスリム(イスラム教徒)で臓器移植を受けた人の数が38人となりました。2007年にで臓器移植を受けたムスリムは19人だったそうですから倍増ですね。
ヒト臓器移植法は1987年に制定されましたが、2004年の改正により、ムスリム以外の国民、永住権所持者で21歳から60歳の人は、死亡したら、生前に特別な書類を提出していない限り、自動的に臓器提供者の候補になることになっていました。ムスリムは、宗教上の理由から臓器提供者の候補にはならないことになっていたのですが、昨年の改正によりムスリムもこの法律の適用を受けることになったわけです。
その理由には、ムスリムであるマレー系市民は、全人口の14%程度なのですが、腎不全のため腎臓移植を希望する人の割合が他の民族の市民に比べて大きいということがあるようです。
実際に、臓器提供者が増えたために、臓器移植を受けた人全体に占めるムスリムの人の割合も11%から19%に増えたそうです。シンガポール保健大臣の発言によれば、過去5か月で、4人のムスリムの臓器提供により、15人の命が助かったということ。ただ、保健大臣は、ムスリムに腎臓疾患の人が多いことにも触れ、移植は最後の手段であり、まずは予防が大事だと注意を促しました。
最近の報道によれば、WHO(世界保健機関)が、この5月にも「移植に必要な臓器は自国で賄うべき」との指針を承認する見通しで、海外に渡航しての移植が、制限される可能性があるということで、国内のドナーが少ないため海外での移植に頼らざるを得ない日本がどうすべきかということが問題になっているようです。
宗教や文化の違いがあるため、他の国がしているから日本も、というわけには簡単にいかないでしょうが、将来的には日本でも、死亡すれば原則として臓器提供者の候補になるというような制度が検討されることになるのかもしれません。
とは言っても、自分が臓器を提供する、あるいは、自分の家族が臓器を提供するという立場になったときのことを考えると、難しい問題ですね。

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