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2000年1月22日

北京1泊2日の旅その1

 モスクワ出張からの帰国便がどうしても取れなかったため、モスクワから北京に行き、北京で1泊して成田に向かうこととなりました。朝9時50分に北京空港に着いて、次の日の朝9時20分に出発しましたので、正味1日にも満たない滞在でしたが、目的がトランジットだけで仕事が全くありませんでしたので、結構気楽な滞在でした。私にとって、北京を訪問するのは初めてのことでしたので、その時のことを御紹介します。短い割には中身の濃い滞在だったので、1回では紹介できそうにないですが。

 北京空港ですが、とても大きく、清潔で感じのいい空港ですね。特にモスクワ空港からやってきた私には非常にいい空港だと感じられました。入国審査も、モスクワ空港の方は、係員の対応も厳しい感じで、メガネを外させ、じっと顔を見て確かめ、さらに入国スタンプを押すまでかなり時間がかかっていたのですが、北京空港の係員はちらっとこちらを見て簡単にスタンプを押してくれました。もっとも、北京の場合は同じ東洋人なので、写真と本人の顔のチェックは感覚としてわかりやすいのかも知れませんね。それから、今年(2003年)9月から中国への観光旅行はビザが不要になったということで我々もノービザでの入国でしたが、入国審査で「ビザは?」と聞かれたので、ちょっとびびって「ない」と答えたら、何事もなくスタンプを押してくれました。

<新しくきれいな北京の空港の中>
<北京市内の通り>

 なお、入国審査の前に健康検査のカウンターを通らなければならず、そこでは健康チェックカードに自分の状態を記入して提出し、さらに体温測定器(ビデオカメラ?を通路に向けていて、そこを通った人の体温の状態が画面に映し出されるやつ。サーモグラフィーと言うんでしょうか)の前を通らなければならなかったのですが、最近はSARS患者も出ていないからか検査はかなり形式的な感じで、何事もなく通り過ぎることができました。

 北京では楽をしようと思って、滞在中はすべて日本からお願いしていた日本語ガイドさんに案内してもらうことになっており、日中は、故宮博物院、万里の長城を見学する予定となっていました。

 空港から出て感じたのですが、晴れているにもかかわらず、青空がどんよりしていて、ガイドさんに聞いたら、スモッグだということ。風が無い日は、市内にスモッグが溜まってしまうということのようでした。そのせいか、滞在中、どうも鼻がむずむずして、ホテルに戻って鼻をかんだら、鼻の中が真っ黒になっているのに気が付きました。

<天安門広場です(通り過ぎただけ)>
<故宮博物院...広過ぎ>

 まずは故宮博物院に向かうため、空港から北京市内に向かっていったのですが、バスからの景色を見ると、北京はもう立派な大都会だなあという感じでした。道路も広く整備されており、高層ビルや立派なホテルが立ち並んでいます。自動車の数も多くて、ちょっと見たところではシンガポールの市街と変わらない感じです。というか、北京の建物や道路と比べるとシンガポールの街はこじんまりしているという感じです。ただ、ちょっと脇道に入ると、古い建物や商店が立ち並んでいるし、かなりくたびれた自転車に荷物をいっぱい載せてはしっているおじちゃんがいたりして、私の知っている都市でいうとハノイのような雰囲気がありましたね。

 そして故宮博物院に到着したのですが、建物の大きさもさることながら、ものすごい観光客の数ですね。ほとんどが中国の地方からやってきたと思われる方々で、旅行会社のマークの付いた野球帽を被りかばんを持った人たちが固まっているのは団体旅行の人たちなのでしょうね。施設の方はというと、あまりにも全てが大きすぎて、ちょっと感覚がわからなくなってしまうような感じでしたが、よくもこのような壮大なものを作ったなあということで、昔の中国の強大さがよおくわかりました。この故宮博物院そのものが一つの街になっているような感じで、中にスターバックスの店があったり(多分)、奥の方の人があまりいない広場では卓球をやっている人たちがいたり、トイレに入ったら白衣を着た職員がカウンターに並んでいてティッシュなどを売っていたりと結構おもしろかったのです。

 故宮博物院の中を1時間くらい歩いた頃でしょうか、ガイドさんがちょっとお茶でも飲んで休憩しましょうということで、建物の中に入ったのですが、建物の中は広いホールのようになっていて周りの壁には掛け軸や絵などがずらりと並んでいて、その真ん中にテーブルとイスがあり、お茶が飲めるようになっていました。お茶を飲みながら美術品の展示を見られる所なんだろうなということで座ってお茶を飲んでいたのですが、よく見ると、前方の奥に、中国の伝統的な服を着たおじいさんが座っているのに気が付きました。それも、単なる職員という感じではなく、非常に偉そうに(悪い意味ではなくて)どっしりと座っています。

 どういうことかなあと思っていたら、その脇にいた人のよさそうなおじさんがいきなり日本語で説明を始めるではありませんか。彼の言うには、前方に座っている人は、あのラストエンペラー愛新覚羅溥儀の甥に当たる人物で、しかも書の達人として世界的にも著名な人で、世界的に優れた芸術家として認定も受けている。普通であれば、このような場にいる人ではないのだが、現在、この故宮博物院では修復工事が行われていて、その費用に充てるため、月に何度かボランティアとしてここに来てくれている。このため通常であれば彼の書は数十万円もするのだが、あくまでもボランティアということなので、もし気に入った書があれば、皆さんの気持ちとして代金を支払っていただければいい。代金は中国元でも、円でもいいし、カードでもいいということでした。

 皆さんお気付きと思いますが、どう考えても怪しいですね。お茶を飲もうということで、ガイドが何気なく連れてきたのですが、おそらく既にここは日本人観光客の観光コースに入っているのは間違いなく、したがって、書の達人は月に何度か来ると言っているが、まず毎日いるはずです。また、書の達人も本当に愛新覚羅溥儀の甥かどうかも怪しいものです。しかも日本語で説明できるスタッフが常駐していて、カード払いでもいいとは...

 でも、私はここで書の掛け軸を買ってしまったのでした。書の達人はその場で実演もしていて実際に書いてくれたのですが、結構いいなあという感じだったし(もちろん素人の私が思っただけですが)、代金も、最初の値段が数万円というのを、結構値切ったら半額にしてくれたので、ちょうど我が家の和室に掛け軸が欲しかったということもあって、買ってしまいました。別にだまされたわけではありませんので...本当に。その場で書いたものを掛け軸にしてくれてホテルまで届けてくれるということだったので、達人と記念撮影もして、立派なカラーの達人の作品集にサインもしてもらってその場を後にしたのでした。

<故宮博物院の中の防火用のカメ>
<故宮博物院の中の公園>
<この方が愛新覚羅の甥&書の達人 >

 それで、これには後日談がありまして、家に帰って妻に話をしたら、愛新覚羅の甥だなんて絶対嘘に違いないと言われてしまったので、私もちょっと意地になって、そんなことはないとインターネットで情報を検索してみたのでした。そしたら、故宮博物院にいる書の達人について書いてあるホームページが結構たくさんあったのですが、それらを読んでいると、私が会った人とは明らかに別人である愛新覚羅の甥で書の達人がいることがわかりました。写真を見ても全く別人だし、名前も違っていました。結局、同じような人が少なくとも3人はいるようでした。そのことを妻に話したら...大笑いされてしまいました。でも、私が考えるに、甥というくらいですから一人や二人ではなく何人もいるはずで、しかも愛新覚羅家というのは皆さん書の達人であり、おそらく彼らが交代でボランティアにやってきているはずなのです。決して、彼らは日本人をだましているのではないはず...です。そして、私も決してだまされて掛け軸を買ったわけではありませんので...本当です。

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