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1998年5月23日

クレジットカード

 シンガポールに赴任する前、クレジットカードは是非持っていった方がよいと先に赴任していた同僚や出入りの銀行の方に薦められ、新しくカードを作ることにしました。それ以前からクレジットカードは持っていたので、それを利用してもよかったのですが、わざわざカードを新しく作ったのは、次のような噂を聞いたからです。それは、シンガポールには中国系の人が多く住んでいますが、中国系の人というのは「金(きん)」が大好きで、金のアクセサリーを集めたり、部屋の装飾なども「金色」に光り輝くものが好きで、したがって、クレジットカードについても、普通のではなくて「ゴールドカード」が好まれるということで、シンガポールでは、ゴールドカードを持っているというだけで信用されるとか、様々なメリットがあるという話なのでした。それを聞いた時は、確かに中国人は金が好きそうだし、そういうものかなあ、と話を信じてしまって、私のような一般庶民には年会費が高くてたいへんな、VISAのゴールドカードを作ってしまいました。

 それで、実際シンガポールに行ってみて、ゴールドカードの効果があったかどうかということについては、結局あまりよくわかりませんでした。どこの店でも、もちろんゴールドカードに限らず、どのクレジットカードでも使えましたし、ゴールドカードを見せて、店の待遇がよくなったとかいうことは別になかったような気がします...

 しかし、聞いていた話のとおり、シンガポールではクレジットカードが非常に普及していて、ホーカーなどを除くと、大体どんな店でもクレジットカードは使えるようでした。シンガポーリアンも、数10シンガポールドルという小額の買物からクレジットカードを使う人がいました。スーパーマーケットでも、レジで10シンガポールドルもしないような買物をした人が、クレジットカードで支払いをしている姿をよく見ました(でも、これは欧米人の人が多かったです)。ただ、クレジットカードでの支払いは、現金で支払うより結構時間がかかってしまうので、レジの後ろで並んでいる人には、はっきり言って迷惑な話でした。また、シンガポールだけではなく、東南アジア各国でもクレジットカードはかなり普及していました。私が行った中では、ベトナムはさすがにクレジットカードが使える店はあまり見かけませんでしたが、ホテルだと、ハノイでも中級クラスのホテルではちゃんと使えましたし、ホーチミンシティでは街角にクレジットカードでキャッシュサービスをするという店が何軒もありましたので、それなりには使えました。

 もっとも、シンガポールでは小切手での支払いが一般的なため、クレジットカードでの支払いをすることにも、あまり抵抗はないのでしょうね。私も、コンドミニアムの毎月の家賃の支払い(数十万円)や電話料の支払いなど、直接会って支払いができないようなものでクレジットカードが使えないものには、小切手を切って郵便で送るということをやっていました。でも、よく考えると、小切手というのは、本人を確認するのが、銀行に届けたサインと小切手に書かれたサインが同じものかどうかというだけですよね。もちろん、小切手に書かれている相手にしか支払わないということはあるのですが、我が家でお願いしていたメイドさんなんかは、毎月の報酬を支払うのに小切手を使っていたのですが、その小切手を直接店に持って行って買物をしたいので、あて名は入れないでほしいとリクエストがあり、あて名を入れないで渡したりしていたので、そういうこともよくあることなのでしょう。しかも、相手に送るときなどは、数十万円分を普通の郵便で送りますので、結構危ないですよね。

 私も、日本にいるときは、クレジットカードを使うというのは、少なくとも数万円以上の買物をするときくらいで、それも現金を持っているときは現金の方を使うということで、実際に日本ではクレジットカードを使う機会というのは、あまりありませんでした(まあ、これには私が古い考えの人間だったというのもあるのでしょうが)。しかし、シンガポールに行った途端、何にでもクレジットカードを使い始めるようになってしまい、数10シンガポールドルくらいの買物は、カードで支払う手続きがわずらわしいので現金でしたが、50シンガポールドルを超えるくらいのものは、カードを使うようになりました。もっとも、私の場合は、勤務先からの給与は、一部がシンガポールの銀行口座へ、一部が日本の銀行口座に入ることになっていましたので、日本の銀行口座から引き落としになるクレジットカードを使うのは、シンガポールでお金がなくなったときに、わざわざ日本の銀行口座からシンガポールに送金してもらう必要がないので便利だということもあったのですが。

<デパートのクリスマスツリー>
デパートのクリスマスツリー

 また、シンガポールにはNETS(Network For Electronic Transfer Singapore)というシステムがあります。これは、現在日本で全国的に導入が薦められているデビットカードと同じようなシステムで、銀行のキャッシュカードで買物ができるというもので、これもかなり普及しており、クレジットカードが使える店はほとんど使えたようです。私は、どちらかといえばNETSよりクレジットカードを使うことが多かったのですが、シンガポーリアンはNETSを使って支払う人が結構いたようでした。しかも、このシステムは1986年から始まったということで、日本よりかなり先を行っていますね。

 ところで、シンガポールから帰国して3か月くらい経った頃でしょうか、夜遅く、突然、クレジットカード会社から家に電話がかかってきました。電話に出た担当者の話によると、私のクレジットカードが、たった今、タイのバンコクで使用されたが、不審な利用と思われるので確認してほしい、という連絡がタイのカード会社からあり、確認のために電話しているということでした。もちろん私はそのとき日本にいましたので、私ではないということを話すと、すぐにカードを使えないように手続きをするということでした。

 後日、カード会社から詳しい話を聞くと、現在、東南アジアでは、クレジットカードの偽造が流行っており、私の偽造(されたと思われる)カードは、バンコクの小さな店数軒で、数10ドルずつ使われたということでした。これらの店は、現在は日本でも一般的な、カード会社と電話回線で繋がっていてカード利用時に確認がされるというシステムの店ではなく、昔からある、小さな器械でガチャンとレバーを引っ張って処理するというシステムの小さな店で使われたということです。この方式だと、カードに磁気が入っていなくてもばれないということで、私のカードも、カード番号と氏名を控えて偽造するという単純な手口でやられたのではないかとうことでした。私は、仕事でタイには10回くらい行ったのですが、いろいろな店で食事をしたり、買物をしたりして、結構カードは使っていました。今考えると、支払いのためスタッフにクレジットカードを預けて、スタッフが店の奥に引っ込んでから、カードを返しにくるのが妙に遅かったということがあったような気がします。そのとき偽造されたのでしょうか。

 いずれにしても、偽造カードを利用された分については、クレジットカード会社の方で、私が支払う必要がないように手続きをしてくれて、カードもすぐに新しいものにしてくれたので、私には実害はなかったのですが、外国でカードでの支払いをするときは、店のスタッフが処理をするのを目の前でチェックしていないとダメですね。スタッフが店の奥に引っ込んで処理しようとするときは、強引にでも一緒についていって見ていないとダメですよ、皆さん...

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