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1998年5月16日

シンガポールで出産したい日本人

シンガポール駐在員の奥様方の間では、シンガポールでの出産は非常に楽で、出産するなら日本よりシンガポールの方がよいという噂があるようです。

私事ですが、私の妻もシンガポールで妊娠しまして、最初のうちは、シンガポールには親戚もいないし、言葉の問題で医者とのコミュニケーションにも不安があるシンガポールよりは、日本に帰って出産した方がいいのではないかと考えていたのですが、妊娠してみると次第にシンガポールでみんな出産したがるという噂の理由が分かってきました。なお、私の妻は、途中で調子を悪くして、2回ほどシンガポールの病院に入院し、結局、出産前に日本に帰ってしまいましたが。

まず、私の家では妊娠したのが分かった時、行きつけの日本人向けのクリニックに行って、産婦人科医を紹介してもらいました。シンガポールでは、産婦人科医は総合病院(hospital)の中にクリニックを開業していて、普段の診察等は自分のクリニックの中で行いますが、入院や手術、そして出産の時は、hospitalに入院させ、出産もその医者がhospitalの分娩室を借りて行います。入院中の回診もその医者が毎日部屋に来て行います。患者はhospitalに入院する時は、自分でhospitalに申込みの手続きをし、hospitalは建物や施設、食事そして看護婦を提供しますが、治療を行うのはあくまでもクリニックの医者ということになります。

私たちが行った産婦人科のクリニックの先生は、日本人ではありませんでしたが、日本人の診察に慣れており(というか、シンガポールで日本人がよく行く産婦人科は大体決まっているようで)、たくさんの日本人が通院していました。診察も基本的に英語であったため、英語があまり得意でない妻と一緒に私もクリニックに同行することが多かったのですが、先生も日本人の診察に慣れており、いざとなれば通訳の人もいたため診察に関しては全く問題はありませんでした。

ところが、ある日、急に妻の具合が悪くなり先生に診てもらったところ、入院の必要があるということで、急きょ入院することになりました。しかし、前述のように入院の手続きは各自が行う必要があるために、病院の受付で数十分かけて手続きをしなければならず、その間、具合の悪い妻は車椅子に乗ったまま、受付の横で待っていなければならなくて、このあたりはもう少しクリニック側と病院の連携がとれていた方がいいのではないかと思いました。

<デパートの中>
デパートの中

 

これは病院に限らずレストランなどでも感じたことですが、シンガポール人のお客さんに対する対応というのは、一般に事務的でマニュアル通りの応対しかしないという感じがして、応対そのものは非常によいのですが、何かあって特別の対応が必要な時に何もできないということがよくあります。例えば、デパートで買物をしていて、一つのレジに20人くらいの客が並んで、それに対して一人の店員しか応対していないという状況の時に、周りに数人の店員が暇そうにぶらぶらしていても、私は今レジの担当ではないということで、他のレジを使って応対するとか手伝うとかいうことがまったくないということがありました。

で、入院の話ですが、このように入院の手続きはあまり親切とは言えない対応だったのですが、手続きが終わり病室に移動するという段になって、いきなりホテルのドアボーイのような制服を着た病院の係がやってきて妻の車椅子を押して、病室まで連れていってくれるではありませんか。病室については、日本人は個室を頼むことが多いということを聞いていたため、私たちも個室を頼んだのですが、ちょうど満杯で、二人部屋ということになったのですが、部屋に着いてまたびっくりです。部屋の広さは二人部屋としてはまあまあといったところですが、ベッドの間には完全にカーテンがかかっていて、普段は隣の人と顔を合わせることもありません。また、ベッドの上の方には一人に一人づつテレビが備えられており、手元のリモコンで操作することができます。電話も一人に一つあり、外に電話をすることも、外から呼び出すこともできます。ベッドも電動で、備え付けのリモコンで起き上がるようにしたりすることもできます。

そして、病院の食事でまたびっくりです。三食の前にあらかじめメニューが配られ、患者は洋風、中華などの数種類のメニューの中から好きなものを選ぶことができます。内容も非常に豪華で日本の病院食とは比べものになりません。私の妻も、入院中は食事の時間を非常に楽しみにしていたようでした。この快適な入院生活というのが、日本人にシンガポールでの出産を希望させる理由の一つです。

ただ、快適な入院生活を送るためにはそれなりの費用が掛かるのは当然で、妊娠・出産関係の医療費は、我々が加入していた日本の損害保険会社の駐在員傷害保険の適用外であるため、全額自前で負担しなければなりませんでした。まあ、これについては後で日本の社会保険の方に請求すると一部が戻ってくるため全額自己負担せずに済みますが、その時は3日間の入院で病院に対して10万円くらいを支払ったはずです。なお、入院した際も、病院に対する支払いと医者に対する治療費とは別に支払わなくてはなりませんでした。

また、妻の入院した病院は私立病院で、サービスは良いものの高いということで、日本人駐在員の人たちはよく使うのですが、シンガポール人の場合は、どちらかと言いうと裕福な人たちが利用していたのではないでしょうか。  そして、病院のほかに、もう一つ日本人駐在員の奥様方がシンガポールで出産したい理由というのは、シンガポールには産後専門のメイドさんがいるということなのですが、これについては、メイドさんのところでお話しします。

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