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1998年5月 2日

アンパオ

シンガポールには、日本の祝儀袋・ポチ袋と似たもので、「アンパオ(紅包)」というものがあります。これは中国語で「赤い袋」の意味で、文字どおり真っ赤な袋の表に、金色で漢字や絵が書いてあり、旧正月や、結婚式のときにお金を入れて渡すということになっています。香港に行ったときも、全く同じ習慣がありましたので、元々中国で行われている風習なのでしょうね。この、表に書いてある漢字も、様々な種類があって、アンパオをあげる場面に応じて使い分けられるそうで、私たち日本人には、そのへんがよくわからなかったので、アンパオの表面の写真と、使う場面が解説してある市販の日本語の本を読んで、間違わないように気をつけていました(でも、確か「福」の字とかは、何にでも使えたはずです。)。

私が、このアンパオを渡したのは、旧正月の時と、結婚式に招待されたときだったのですが、まず、旧正月の時は、日本のお年玉とはちょっと違っていて、家族や親戚の子供だけでなく、家の使用人、お手伝いさんやコンドミニアムの管理や掃除などをしている人たち、それから、オフィスの部下やお掃除おばさんなど、かなり広い範囲の人たちに配ります。金額は数ドル?数十ドルで、親しさにより金額が多くなるようでしたが、最近の日本のお年玉の金額の高騰に比べると、気軽に渡せる額ですね。

また、結婚式のご祝儀については、元々中国の習慣ですから、マレー系やインド系の人たちの結婚式には、こういった習慣は無いようで、マレー系の方の結婚式に一度招待された時には、招待された方に限らず、近所の人も、結婚式の場に来て食事をしてお祝いをするという感じで、特にご祝儀というのは、誰も持ってきていなかったようでした。でも、私たち日本人は、結婚式の招待というとご祝儀を持っていかないと申し訳ないという気持ちがあって、マレー系の方にアンパオに入れて持っていくというのも、よく考えると変ですが、ご祝儀を一応アンパオに入れて渡しました。

この、アンパオをあげるというのは、私には初めてのことだったので、最初の旧正月の時、まず、どこでアンパオの袋を売っているのだろうかと悩んでしまい、中国独特のものなので、きっとちゃんとしたショッピングセンターでは売っていないだろうと考え、そこいらへんのローカルっぽい雑貨屋あたりで売っているに違いないということになり、早速、近くのホーカーセンターのそばにある雑貨屋に行ってみました。

<ここはボートキーです>
ここはボートキーです

 

しかし、店の中を探してもアンパオらしきものは置いてありません。そこで、店のおばちゃんに、アンパオはないのかと聞いてみると、最初は、「置いていない」という返事だったのですが、「でも、ちょっと待っていろ」と言うと、店の奥に入っていって(たぶん店の奥は住宅だったのでしょう)他の家族と何かごそごそやっているようでした。待っていると、アンパオの袋を数枚持ってきてくれたのでした。代金の方も数十セントでいいと言ってくれて、わざわざ、家の中で探して持ってきてくれて親切なおばちゃんだ<と思って、店から出ました。

ところが、外に出てから、アンパオの袋を見ると、袋の下の方に「DBS BANK」という字が目につきました。で、ちょっと待てよということで、よくよくその袋を見ると、その袋は、どう見ても、DBS銀行(シンガポールの銀行)が、サービスでお客さんに配った景品なのでした。あのおばちゃんは、銀行の景品でもらった袋を、しかも数十セントとは言え、お金をとって、無知な日本人に売りつけたのでした。これには、怒るどころか、さすがシンガポーリアン、転んでも(転んでいませんが)ただでは起きないなあ、と感心してしまいました。  なお、銀行の名前が入った袋を使うわけにもいかず、その後、ショッピングセンターの中を探してみると、スーパーや文房具屋などで、アンパオの袋は、たくさん売っていたのでした。

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