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1998年4月15日

シンガポールの医療費

シンガポールの人たちは医療費をどうやって支払っているのでしょうか。また、老後の年金のようなものはあるのでしょうか。実はシンガポールには基本的に日本のような社会保険の制度はありません。その代わりにCPF(Central Provident Fund、中央積立基金)という制度があります。

このCPFは、勤労者が定年退職後又は不慮の事故等で働けなくなった場合に経済的な保障をするために、勤労者とその雇用者が給与の一定割合を各勤労者の特別の口座に積み立てておくという、一種の強制貯蓄制度です。具体的には、毎月、勤労者は自分の給料の20%を、そして雇用している側は給料の10%相当分を勤労者の口座に貯金していきます。これらの割合は、経済の状況などにより頻繁に変更されており、現在の雇用する側の割合10%というのも、従来は勤労者側と同じ20%だったのですが、アジア経済危機によるシンガポールの景気の悪化への対策として10%に引き下げられたものです。なお、高齢者になるほど、拠出する率は減っていきます。また、給料が6,000Sドル以上の場合は、それぞれ1,200Sドル、600Sドルが上限になります。

これらの貯金は、加入者が55歳になれば一定の額を残して引き出すことが可能になります。また、その前でも一定の利用目的のために引き出すことができることになっています。まず、住宅購入や住宅ローンの返済、教育費などのために引き出すことができます。シンガポーリアンは持ち家率が非常に高く、HDBの9割は持ち家なのですが、持ち家が多い理由としては、家の価格が日本より安いことのほかに、この積立金を頭金に使うことができるためだと言われています。次に、積立金は勤労者本人やその家族の医療費、入院費に充てるために引き出すことができ(メディセイブ)、シンガポール人はこれにより医療費の支払いをすることができます。その他、不慮の事故などで働くことができなくなったときにも引き出すことができますが、実際にはこれらの引き出す目的に応じて3種類の口座が作られており、毎月の積立額の一定割合がそれぞれの口座に積み立てられています。

また、このCPF制度を補完するために様々な制度があり、メディセイブを超えるような高額の医療費を積み立てるための強制でない積立金の制度や低所得者のために政府が拠出して作った基金(メディファンド)などがあります。

シンガポール政府では、医療費や老後の備えという問題は、基本的にそれぞれの個人の問題だというふうに考えているようで、あまり、社会保険や公的年金の制度を充実させるのはよくないという姿勢があるようです。したがって、このCPFによる積立金というのも、もらう金額自体は日本の社会保険・公的年金の方が充実しているようです。ただ、シンガポールでは、まだ、日本ほど核家族化が進んでいないようで、そのため、老人の老後の面倒は子供たちが見るということがまだ普通のような感じがします。だからこそ、公的年金に頼るということが今の日本ほどはないのかも知れません。

<ブギスジャンクション>
ブギスジャンクション

 

また、このシンガポールの積立基金制度と日本の社会保険制度とどちらがいいのこということについては、一概には言えないことだと思いますが、日本の制度と比べて、自分(と会社)が積立したお金が自分のためだけに使われるという点がはっきりしており、自分が積み立てなければ受取額も少なくなるわけですから、払う方にしてみれば払おうかなあという気持ちになるような気もするのですが...。

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