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1998年4月 6日

シンガポールの教育制度

シンガポールは、東南アジア地域の中では、非常に順調な経済発展を遂げてきた国と言えるのでしょうが、もちろん建国当初からこのように順調な発展を遂げてきたわけではなく、政府による国家の発展のための様々な政策が成功した結果であると考えられます。この政府の政策の中で、非常に重要な役割を果たしたものの一つが、ユニークな教育政策であると思います。そして、教育政策の中でも最も重要なのが、英語と実務的な科目重視ということではないかと思います。

具体的に、英語重視の教育ということについては、基本的に学校の授業は小学校から英語で行われています。小学校だけでなく保育園、幼稚園も英語で授業が行われているようです。これにより、シンガポールの成人のほとんどは、日常会話レベル以上の英語が話せるようになっています。私がシンガポールで驚いたのは、50歳代以上の方や、いわゆるブルーカラーの人でも、ほとんどが英語を話し、それも、少なくとも高校まで英語教育を受けている日本人よりもはるかに上手に話すことができるということでした。

もともとシンガポールがイギリスの植民地であったとは言え、政府がこの英語重視の政策を採用する際には、国内で大きな議論があったと言われています。例えば、現在の日本で学校の授業をすべて英語により行うとしたら、日本人のほとんどが反対するでしょうね。しかし、この政策は、現在のシンガポールにはすっかり根付いているのでしょう。

<シンガポールの中学校の教室>
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この英語重視政策というのは、もともと、それぞれが母国語を持つ中国系、マレー系、インド系国民を持っており、しかも海外を相手にしていかなければ国が立ち行かない小国シンガポールの特殊性から必要とされたものではありますが、結果として、国際社会において、非常に有利な立場に立つことができたのではないかと思われます。例えばシンガポールに外国企業が進出しやすいとか、観光面で有利だとか、特に経済の面で大きなメリットが生じているようです。

私は、これらのメリットに加えて、若者の海外への留学を非常に容易に、そして効果的にしているということもあるのではないかと思います。つまり、日本では一般に留学というと、語学そのものを目的としている場合が多いのではないかと思いますが、シンガポールでは、少なくとも英語力は、シンガポール国内で十分にレベルアップされているため、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスといった英語圏の国に留学した場合には、すぐに語学ではない専攻科目を学び始めることができるということです。このことが、シンガポールの学生の海外留学が非常に多く、しかも優秀な人材を育ててきている理由の一つになっているのではないかと思います。

もう一つの、実務的な科目重視ということについては、具体的には、シンガポールでは、語学の他には数学や科学といった科目が重視されているといったことがあるようです。ただ、その一方で、道徳教育や芸術、体育といった科目は軽視されているようで(というか勉強する時間がないですよね)、例えばシンガポールの生徒の体力は日本の生徒と比べてかなり劣っているということが言われており、その原因が体育軽視の学校の教育にあるのではないかと言われています。また、シンガポールの人と会話をしていて、日本でなら小学校レベルの話題について(例えば星座のこととか)、相手がまったくわからないということもあります。ただ、シンガポール政府も、この点については問題があると考えているようで、教育に関して様々な改革を進めているようです。

日本のように、小中学校では、なるべく多くの科目を学ばせるというのも一つの方法だと思われますし、シンガポールのように、一部の科目を重点的に学ばせることによって、ある方面に関して優秀な人材を育てていくというのも一つの方法と思われ、どちらがいいのかはわかりませんが、シンガポールとしては、少ない国土と少ない人口で、世界の中で発展していくために、そのような教育政策をとったということは、非常にユニークであるとともに、少なくとも現在は成功しているのではないかと思います。

なお、平成8年の8月に茨城県の中学2年生数十人と代表の校長先生らの派遣団が、シンガポールの中学生と交流会を行うために来星しました。私は、この交流会のセッティング等を行い、交流会にも出席しましたが、その時見て驚いたのが、シンガポール側には、どう見ても中学生には見えない18歳くらいではないかと思われる生徒が数人いたのですが、これも、シンガポールでは、中学生から留年することがあり、一定の試験に合格しない場合は留年になるため、かなりの年齢になる生徒がいるということです。

また、当日は最後に昼食を全員で取りましたが、普段の日はシンガポールの学校では小学校も含めて給食はなく、学校内にある食堂(というよりフードコートという感じのもの)で、生徒がお金を出して各自食事を注文するということになっています。ただ、その交流会の時の昼食の内容は、魚と野菜のみという多民族、多宗教国家ならではのものでした。

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